211系5000番代の思い出。
JR東海の211系5000番代は恐らく、僕が生涯で最もよく乗った車両だと思う。デビューしたのは、僕がまだ小学校高学年の頃だった。
それよりひと足早く、国鉄末期に登場した211系0番代をベースに助手席側の窓を拡大し、インバータークーラーを採用するなど、JR東海により細部に変更を加えられたモデルチェンジ車である。
民営化直後のことで、それまで湘南色の113系やスカイブルーの103系しか居なかった中央西線名古屋口に突如として銀色に輝く新車が現れた時には驚いたものだった。
ボルスタレス空気ばね台車を備えているので、初めて乗った時にはまるで、線路の上を滑っているかのように錯覚した。それに、甲高いモーターの音とステンレスの車体は未来的でかっこよかった。
また、当時としては画期的な界磁添加励磁制御による回生ブレーキを備えた省エネ車両でもあった。
211系5000番代は高校、大学時代を通じて通学で殆ど毎日のように乗車したので、恐らく僕が生涯で最も多く乗った鉄道車両だろう。名鉄の6000系や7000系も多く乗ったが、これらは高校時代のみだったので、回数ではとても敵うまい。
そして1999年に中央西線の国鉄型車両を完全に置き換えるべく、313系が投入されても211系5000番代は時に313系と併結運転さえながら20年以上共存してきた。
しかし、昨年、JR東海は211系5000番代を後継315系の投入であと数年で置き換えると発表した。
40年未満で廃車はいささかもったいない気もするが、利用者はより快適で綺麗な車両を望んでいる。また、電力事情は逼迫しており、より省エネ効果の高いが求められるのは自明のことなので、これも致し方ないだろう。
慣れ親しんだ車両がなくなるのは淋しいが、本当にお疲れ様。
悔いの残らぬよう、今のうちに沢山撮って沢山乗っておこう。